読書メモ「汝、星の如く」
切なすぎて、苦しくて、でも、読まずにはいられなくて。
一気読みしてしまう、しかも後半になればなるほど止まらなくなる小説。最後のシーン、文字通りページを捲る手が止まらない、なんなら、目が字に追いつかない。飛ばして読んでしまうのではなく、物語のエキスが文字を通す前に自分に入ってくる感じ?
苦しいことをポップに書く小説がある。本人たちは意外に淡々と楽しみながら生きているんですよ、というテイストのやつ。苦しいことを苦しいままに書く小説がある。どん底まで沈んでいくような、でも、その中に共感が埋まっていて、目を背けることができないやつ。
でも、この小説は苦しいことを確かに書いているのだけれど、どちらでもない不思議な感じがある。淡々とでもない。むしろ心理描写はめちゃくちゃ繊細で、細かい。読み進めるたびに、読者の心は動かされ、乱される。でも、それがストレスではない。程よい距離感で、付かず離れず、そこに自分を見出すのだけれど、でも、完全に自分のことを書かれているわけでもない。
エピローグが、めっちゃ秀逸で、これは前作「流浪の月」にも言えたこと。「当たり前」というフィルターをいかに自分は通してしか物事を見ていないかというのが突きつけられる。同じ叙述なのに、読後のプロローグは見え方が百八十度変わる。私たちは、島の人たちのこと、全然笑えない。
プロットだけ考えたら、「そんなわけないじゃん」と大人な人は突っ込みそうな設定なのだけれど、それでも、そんな恋も(正しくこれは恋だと思う)あるかもしれない、と思わせるくらいにはリアル。そんな恋に憧れもするし、でも、自分の人生を投げ出す、自分の矜持を折る(そもそも私におるほどの矜持があるだろうか?)ほどの恋を自分が受け止められるだろうか、と考えると、自分には「フツー」がお似合いなのだと思ってしまう。
出てきたみんなが救われなくて、出てきたみんなが救われる話。